値段が高いのには訳がある。~プリントシート編

屋内外広告で最も一般的なプリントシート。自由な発想で出来上がったグラフィックデザインをプリントしたシートですが、耐久性や用途は様々。ここでは、屋外で看板に使用するプリントグラフィックシートの耐久性に焦点をあててみます。

 

一般的に看板屋さんが屋外看板に使用するプリントグラフィックシートは塩ビ系の「中長期」タイプと呼ばれるもので、一般的に耐久性は3年~5年相当とされています。一日中日が当たり、激しく風雨に晒される場所(ロードサイドの遮るものがない場所など)での看板が最も条件が厳しく3年を待たずに痛んでしまう場合があります。逆に日当たりがそれほどなく、穏やかな環境下での看板は5年以上持つことができます。ご覧になった事があると思いますが、街中で見かけるビルから突き出た看板や、柱についている看板で、日当たりの良い面の看板は色あせクラック(ひび割れ)が発生しているけれども、反対側の日陰になる面は綺麗さを維持している。同じ場所であっても日当たりで随分と耐久性も変わってしまいます。

 

痛み方は次のように進んでいきます。一般的な耐久性で説明します。3年過ぎくらいで表面が白く濁ってくる→4年前後で四隅や辺に剥離やクラック(ひび割れ)が発生する→5年前後で全体的に色あせと黒い縦のシミが進行していく→6年前後で全体的にクラックが発生し色褪せもかなり進行している→同時期にボロボロ剥落が起きる→無残な姿になる。

 

屋外看板でずっと掲示するプリントグラフィックシートなのに、なぜ「長期」ではなく「中長期」なのかという疑問を持たれた方がいらっしゃると思います。それは…単純に「コストパフォーマンス」です。限られた予算の中で最大限お客様のご要望にお応えすること、他社さんとの競争で避けられない「価格面」での優位性を考えるとはやり中長期の塩ビ系シートが使用しやすいのです。

 

しかし、この業界に身を置いている私にとっては、是非長期タイプのシートを、それも3M社製のスコッチブランドの製品をお勧めしたいのです。

 

3Mの名は聞いたことがあると思いますが、アメリカが本社の世界的な科学・電気素材メーカで、セロハンテープや接着剤を発明した会社です。車の最高ブランドと言えば「メルセデスベンツ」のように、シール材の最高峰ブランドと言えば「スコッチ」なのです。

 

スコッチのシート素材や糊のクオリティたるや、他のメーカーとは一線を画します。

日晒し実験6年超/左が中長期塩ビシート、右がスコッチグラフィックスシート
日晒し実験6年超/左が中長期塩ビシート、右がスコッチグラフィックスシート

上の写真をご覧ください。弊社屋上(南西の面)でシートを貼って日晒しした実験の写真です。屋上の吹き曝しで昼前から夕方まで陽が当たる場所に貼って実験をしました。通常より厳しい環境です。実験開始から6年経過した結果、左の一般的に用いられる「中長期塩ビシート」は見るも無残な姿を晒しています。一方、右の3M社製スコッチグラフィックスシートはいかがでしょうか?痛みも色褪せもほとんどなく、良好な状態を維持しています。当社での価格差は、左の中長期塩ビシートで平米7300円、右のスコッチグラフィックスシートで平米15100円(共にお客様価格/デザイン費・施工費・消費税別)と倍以上の違いがあります。

 

ちなみに、これにはシートだけではなく、プリント表面を保護するラミネートフィルムというフィルムを加工していますので、それによる耐久性も加味されます。しかし、その性能は良質なプリントシートと相性のよい同等性能を有するラミネートフィルムが合わさって発揮されるもので、プリントシートは廉価版でラミネートだけ高品質にしても、その逆でも質の低い方に影響されてしまい寿命を縮めてしまいます。

 

また、右のシートは自動車など特に使用環境が厳しく、3次元曲面も施工ができる最も高品位なシートということもありまして、このような価格差が出てしまいます。平面の屋外看板にはオーバースペックでもあります。

 

もちろん、スコッチ製品にはそれと近い品質を有し、屋外看板向きの製品もあります。当社価格で平米13600円(お客様価格/デザイン費・施工費・消費税別)となります。

 

それでも価格差は倍近くありますので、躊躇されてしまう方も多いと思います。しかし、スコッチグラフィックスシートを指定されるお客様も数多くいらっしゃいます。信頼のブランド指定です。価格は高いがその分の価値は十分にある…ご予算に余裕がある場合には是非一度検討してみてはいかがでしょうか?(S)